傾城

 一瞬の躊躇いも見せずに腰を落とす。
 内襞を酷く擦って収まってゆくものの熱さに、背骨から脳髄まで震えが走った。
 馬に乗る事が多いせいだろう肉の削げた太腿の内側、際どい所にちくちくとした感触がある。それが馬超の下腹の毛だと気付いた瞬間、どうしようもない疼きが湧き起こった。
「ぅ……っ、もぅ、ぁっ……」
 孟起と呼びたいのに、口を開けば喘ぎにしかならない。ぞくぞくと立て続けの快感に襲われる身体をくねらせる。
 挿れただけでこの有様だ。それというのも、全ては馬超の視線のせいだと責任を全部擦り付けてやる。だって、あの強い目で趙雲の身体の表面をずっとなぞっているのがいけない。
「少しは手加減しろよ」
 普段より数段低い呟き声は、不機嫌な愚痴にも聞こえる。
 少しは優しくしてやろうとか、そういう心遣いは貴方にはないのか。
 不満と腹癒せを込めて睨め付けてやると、見返す眉間に皺が寄った。
「や、ちょ……っ、っひ」
 急に激しく動き出されて、短く切迫した悲鳴が上がる。
 支えを求めるように伸ばした手を、節くれた指が握り込んだ。
 不安定な身体が、頼りなく揺れる。
 意外というか、案の定というべきか、馬超の抱き方は情熱的だ。遊び倒した結果だろう巧さもあるけれど、その上、力尽くで身体の深いところまでを暴かれて神経が焼き切れそうになる。声も、揺れる腰も抑えられない。
「……んな声、出しやがって……っ」
「あ、あ、だめ、だめ」
 もっと欲しい。
 もっと中を擦って掻き回して抉って欲しくて、ぐるりと円を描くように尻を押し付けた。
 馬超が呻くのと同時に、中の性器が硬さを増す。
 はしたなく零れた悦びの声ごと唇を吸われた。